なぜか、結婚式の司会は鍛鉄工芸家の西田さん

なぜか、結婚式の司会は鍛鉄工芸家の西田さん

 

1994年1月、私たちは結婚式を挙げました。

幸男25歳、まだ消防署に勤めています。

 

当然、職場である消防署の方たちも招待しています。

 

披露宴を盛り上げるには、司会選びは慎重に考え(たつもり)

その日限りの式場側の司会者では、私たちのことは何も知りません。

私たちを知っていて、ユーモアがあってアドリブが利く人。

 

そうだ、西田さんにお願いしよう!

特に深く考えることもなく、西田さんへお願いしちゃいました。

 

当時、西田さんのひと言や行動を、まだ若い私たちはぐんぐん吸収していたように思います。

 

仕事で寸法を間違えても、全然動揺しません。

困難な依頼にも「NO」と言わないとか。

 

仕事だけでなく、ものの考え方も柔軟でした。

 

そして、披露宴の流れを書いて、「あとは西田さんにお任せします」と、前日を迎えました。

 

結婚式前夜。

お嫁さんの私は、家族と過ごす最後の日…のはずですが、

至って普通に過ごしていました。

 

そこへ、西田さんから電話。

 

「披露宴の打ち合わせの紙を秩父の工房に忘れてきちゃったから、今からコピーもらいに行くね」

 

今から?

 

夜8時をまわった頃、ふたりでコンビニへ行ってコピーして。

 

前日だけど、今から、司会のおさらいするのかな?

まあ、大丈夫でしょ、と当日を迎えます。

 

 

新郎側には、消防署のひとたち。

司会は鍛鉄工芸家の西田さん。

そして、私たちの親。

 

今考えると、なかなかの複雑な顔ぶれです。

〈現職業の上司と仲間、将来の職業のボス、現職業を推す親たち〉

でも、当時の私たちは、何とも思っていませんでした(笑)

 

披露宴は無事に終わり、またいつもの日常へ。

 

幸男25歳、まだ消防署のレスキュー隊。

休みの日には、西田さんの工房へ通う生活が続きます。

 

この時はまだ、消防署を辞める日が来ることを、私たち以外誰も知りません。